魅惑のヴァンパイア
「ラシード様っ!」


 眼鏡をかけた大男が息を切らせ走ってきた。


「ルースカ。どうした?」


 ルースカと呼ばれた大男は、ラシードの前に着くとゼエゼエと息を切らせた。


 話せるまでに少し時間がかかりそうだった。


「身体のわりに顔は可愛らしい奴だな」


 恐らく、屈強な身体に似つかわしくない眼鏡のことを差しているのだろう。


 ピーターは珍しそうにルースカを見つめた。


「ルースカは強そうに見えますが武術はからっきし駄目で……。政治や研究面では右に出る者はいないのですがね」


「もったいない、こんないい身体をしているのに」


「身体は頑丈なので、ヴラド様の代役に抜擢したのですが、性格がちょっと優しすぎたのか思いのほか早くバレてしまいましたがね」


「この人がヴラドの代わりを!?」


 思わず声に出してしまった。


 ヴラドとは余りにも似ても似つかない。


 どんな特殊メイクをしたって一発でヴラドとは別人だと分かるだろう。
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