魅惑のヴァンパイア
 しばらく歩いていると、遠くの方で闇が、ボコッボコッと大きなイボが現れるように動いているのが見えた。


 嫌だ、怖い。


 踵を返したくなった。


けれど、ヴラドの声が次第に大きくなっているので、近くまで来ていることは分かる。


だから、ここで逃げちゃいけない。


 再び恐怖が襲ってきて、涙が溢れてきた。


 行きたくない、怖い。


 うずくまって泣き出したいのをぐっと堪えて進んだ。


手には汗がびっしょりと浮かんでいた。


 大きなイボのように見えたのは、闇の中から現れた腐った死体のような怨霊だった。


中には顔のほとんどが白骨化している者もいる。


 怨霊たちは、何かを襲っているようだった。


地底を這うような、苦しむような声を上げながら、何かに向かっている。
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