魅惑のヴァンパイア
ヴラドは私の手を取って走り出した。


大きな手に包まれると、安心して温かな気持ちになる。


ヴラドは私の身体を気遣って、私の歩幅に合わせて走ってくれる。


決して無理はさせないように労わりながら進んでいるのが伝わって、私はとても幸せな気分になる。


あんなに怖かった闇の世界が、ヴラドが一緒にいるというだけで、こんなにも感じ方が変わるものなんだ。


 鼻がシュっと伸びているヴラドの横顔を見詰めながら、幸せな気分に浸っていると、後ろから憎悪に溢れた嫉妬深い女が、遠くから呪いをかけているような、そんな視線を感じた。


 私が振り返ると、ワニのような形と大きさをした黒いドロドロの物体が、サササっと逃げて行った。
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