魅惑のヴァンパイア
穴の中は湖のように、生温かい水で満たされていた。


息ができなくて苦しい。


けれど私は、下へ下へと泳いでいった。


 すると、白く蠢(うごめ)くものが見えた。


それらは無数の骸骨だった。


骸骨がヴラドの身体を引っ張り、奈落の底へ引きずり込もうとしていた。


「ヴラっ……!」


 叫ぼうとしてしまって、水の中で息が零れた。


ヴラドは気を失っていたようだけれど、私の想いが届いたのか、ゆっくりと瞼が開いた。


 私はヴラドに届くように、手をぐっと伸ばした。


届かない。


 ヴラドは目を開けたものの、まだ意識がはっきりしていないようだった。


それでも、私の手を掴もうと、朦朧とした様子で手を伸ばした。


 苦しい。もう息が続かない。


でも、諦めない。


ヴラドを連れて行かせない!


 私は足で水を掻いて、手をぐっと伸ばした。


 指先が、ヴラドの中指にほんの少し触れた。


すると、ヴラドの眼がカッと開いて、私の手を力強く掴んだ。


そして、私を胸に引き寄せた。


 瞳が重なる。


ヴラドは私をしっかりと胸に抱いて、私の手を握った。
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