魅惑のヴァンパイア
「ヴ……ラド?」


 声が震える。


死界から一人帰った後、ずっと待っていた。


いつまでも待つと思っていても、一日一日が長かった。


 ずっとずっと逢いたかった。


 逢って、こうして再び、抱きしめてほしかった。


「シャオン! ……逢いたかった」


 搾り出すような切ない声。


本当? 本当にヴラドなの?


「ど…して……ここに?」


 まだ声が震えていて上手く話せない。


 いっぱい、いっぱい話したいことがあるのに。


「光の道を逆方向に歩いて行けば、シャオンの元に帰れると死界の女神が言っていた。言われた通りに歩いてきたら、この川に繋がったんだ」


「本当にヴラドなの?」


 ヴラドは何を今更、といわんばかりに眉根を寄せて、それから意地悪っぽく微笑んだ。
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