魅惑のヴァンパイア
「俺か俺じゃないか、今から身体で試してみるか?」


 耳元で囁かれた甘い言葉に、身体が一気に熱くなる。


「ば……バカ!!」


 胸板をドンっと押した。


 顔が真っ赤になってしまう。


 何度もヴラドとは身体を重ねたというのに。


 ヴラドはそんな私の様子を見て、顔をクシャっとさせて笑った。


 こんな心からの笑顔初めて見た。


 ヴラドって、こんな風にも笑うんだ。


 甘酸っぱい初恋みたいに、胸がキュンっとなった。


「そういえばここはどこなんだ? 魔界にしては暑すぎるし。シャオンは俺の家にいるもんだと思っていたが……」


 家と聞いて、屋敷が燃やされたあの日のことを思い出した。


 そして、バドのことも……。


ヴラドに告げるには、胸が痛い。


私でさえ、バドが死んだという事実から、まだ立ち直っていないのに。


「あのね、ヴラド。バドは……」


 言葉にするには辛すぎる。


 バドが……バドが死んだなんて……。
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