魅惑のヴァンパイア
「早く医者を呼べ! シャオンが…シャオンが……!」


ヴラドの叫びに、女達は目を合わせて戸惑っていた。


苦しみ呻くシャオンのことが心配で、今にも駆け寄って看病したい気持ちは山々だったが、死んだはずの執事と、ここにいるはずがないヴラドがシャオンを抱えていたので動くに動けなかったのである。


 お産など経験したことのないヴラドはただでさえ焦っているのに加え、手伝ってくれない周りの人々に苛立っていた。


 そんな時だった。


 ヴラド達と結社の人達の間で風が巻き起こり、マントで顔を覆ったラシードが現れ、そのすぐ後から5、6人の男達が姿を現した。


「ラシード!」


 ヴラドはラシードの姿を見ると、ほっと顔が綻んだ。


「ヴラド……様?」


ラシードはまるで幽霊でも見るかのようにヴラドとバドを頭からつま先まで眺め見て、鼻をくんくん鳴らした。
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