魅惑のヴァンパイア
「ほ、本当にヴラド様で……?」


「何を言っている! 見れば分かるだろう!」


「しかし今のヴラド様には……」


「そんなことより早く産婆を呼べ! お産が始まっている!」


「なんですと!?」


 ラシードはヴラドに抱きかかえられているシャオンに目を移した。


真っ青な顔で、額に汗を滲ませながら呻いている。


「ど、ど、どうすれば」


 いつもはどんな状況でも冷静で頼りになる男三人。


 それが今はオロオロと心配気にシャオンを見つめているだけだった。


「早くベッドに運ばんか小童共め!」


 恐れ知らずに、ヴラドとラシードを小童呼ばわりして登場したのは、綿毛のような白髪をふわふわと揺らめかせた小さな老婆だった。


「ゲン婆さん!」


その場にいた皆が小さな老婆の出現にほっと胸を撫で下ろした。
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