魅惑のヴァンパイア
「なぜ笑っていられるのですか! 
あなたが王位に戻らなければ誰が王になるとお思いですか!? 
このままでは第二皇子のビルクが王になってしまうのですよ!

ビルクに王が務まるはずがないということくらいヴラド様だってお分かりのはずです!
他の皇子だって王になれる器を持つ者など誰一人としていません」


「……そうだな、あの王妃の子は王になる資格がない」


「分かっておいでならなぜそんな飄々としていられるのですか!?」


 ラシードは人間になってしまったのにも関わらず、全く気にも留めていない様子のヴラドに怒りが湧いてきた。


 魔界の王になるために生まれてきたような方だと心酔するがゆえに、ヴラドが人間になってしまったことに、ショックを隠せないのである。


「俺が言っているのは、器どうこうの話ではない。
王妃の子は王にはなれないんだ。

お前だって知っているはずだ。
王妃が産んだ子は、本物の王の子供ではない。

王はとうの昔に死んでいた」


 辺りがシンと静まり返った。


「……なぜ、それを?」


 ラシードの顔から血の気が失せ、琥珀色の美しい瞳がゆらゆらと揺れた。
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