魅惑のヴァンパイア
「死界の女神から聞いた時は心臓が飛び出るかと思うくらいびっくりしたさ。
俺はずっと、偽物の王を自分の父親と信じ守っていたのだからな。

優しく偉大だった王は、王妃とその愛人によって殺された」


「……そうです。その愛人こそが、姿形を王に変え、偽の王とし君臨し続けた」


「だから殺したのか?」


「……殺す価値もないような男です」


 苦々しそうにラシードは言った。


「だからこそっ!」


ラシードは顔を上げ、ヴラドに向かって叫んだ。


「だからこそ、本物の王の血筋を持つ者が魔界の王にならなければいけないのです! 
魔界の王になれるのはヴラド様しかおりません!」


「いや、もう一人いる。俺より相応しい男が一人。
正統な血筋を持つヴァンパイアが……」


 周りがザワザワと騒ぎ始めた。


 そんな者がいるだろうかと皆が首を捻っていた。


 ただ一人。


琥珀色の瞳を持つ、美しい顔のヴァンパイアを除いては。


「なぁ? ラシード?」
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