魅惑のヴァンパイア
「全く……世話が焼ける奴だ」


ヴラドは、フォークとナイフで器用に食べ物を小さく切り刻んだ。


小さくなった野菜をフォークに刺し、私の口の前に持ってきた。


「ほら、口を開けろ」


私は、小さくなった野菜を見つめ、ほんの少しだけ口を開けた。


パクリ。


ゆっくりと噛んで飲み込んだ。


すると、ほんの一瞬、ヴラドが微笑んだような気がした。


カアっと顔が熱くなる。


ドキドキドキドキ。


なに私、ときめいてるの? 


ほんの一瞬、笑顔が見られただけで。


バカ! ダメ! ダメ! 


治まれ! 私の鼓動っ!


ヴラドは小さく切っては、私の口の中に、切った食べ物を運んでくれた。


それは、気の遠くなる作業で、食べ終わるのに一時間以上はかかったに違いない。
< 62 / 431 >

この作品をシェア

pagetop