弓狩り-ユミガリ-

「もういいよ梓」


「しかし樋山、…」


そう言うと梓の手を離させ私は隼人に向き直る。


「蓮…さん?」


控え目に私の顔を覗き込む隼人。


「あの…「隼人…そんなに的にして欲しいの?」それは……」


ニコリと黒い笑みを浮かべて隼人を見上げる。

私の気に押されて隼人は焦りながら顔を引き吊らせる。


「取り敢えず一時間正座して頭冷やしなよ」


「そりゃないy「何か文句あるの?」いえ、喜んでやらせてもらいます」


そう言って隼人は道場の角で正座し始めた。


(はぁ…やっと落ち着いた…)


隼人には目もくれずに弓に弦を張って2、3回弾いてみる。

ちらりと隼人の方を見ると動かないままじっと正座をしている。


(これで少しは反省するよね…)


そう思ったのも束の間、隼人がこっちを向いたと思えばニッと笑い掛けてきた。


前言撤回、この変態は一生治らない…。




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