加納欄の壊れたピアス シリーズ23
「あの……ピアス……突然、壊れちゃいまして……と、とうとう、じゅ、寿命、ですかね……」

あたしは、しおらしくうつむいた。

先程のキスの感触が、すぐにも思い出せた。

大山先輩は、うつむいたあたしの顎を軽く掴むと。

「いや、寿命じゃねぇよ。あれは、壊されたんだ。また、作ってもらうから気にすんな」

と、言った。


えっ……?


壊された??


顔が近づいてきた大山先輩の肩を逆に掴み。

「ピアス、壊されたんですか?!」

と、聞いた。

「鑑識の話しじゃな。ピンポイントで壊したらしいぞ。その後は、聞いてねぇけど」


ピンポイント?!


そう言って、今度は、あたしの後頭部に手を当てると、大山先輩は、キスをしてこようとした。

「ちょっ!ちょっと、待って……!大山先輩!」

と、体を押しやり、キスを拒否した。

「アイツ、大山先輩が見た時、銃、持ってました?」

「いや」


ドクン……(-_-;)


あたしの心臓が、脈打った。


まさか(._.)


「今、拳銃も探してんだろ。木に、銃弾が何発か見つかってるからな」


ドクン。


ドクン。


あの犯人が拳銃を扱えるとは思えなかった。


アイツは、一瞬で殺すより、自分の手で、苦痛な表情を楽しみながら殺人を犯すタイプだ。


何かがオカシイ。


「大山先輩?」

あたしは、大山先輩を真っ直ぐに、見た。

「なんだよ」

大山先輩は、キスさせてもらえなかったから、少しムクレテいた。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


「私が、やられそうになった時……た、助けて、くれたのっ、て……」

「やられる?お前ちゃんと、犯人捕まえてたじゃねぇか、手錠掛けてあったぜ。まぁ、転がってはいたがな」


ドクン(._.)


決定的だった。


あたしを襲ってきた奴と。


あたしが逮捕した奴は。


別人だ……。


「変な奴だな」

そう言うと、大山先輩は、隙アリ、とばかりに、唇をうばった。



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