ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
「いえ、今回の映画の役。
 刹那が演技するより、那由他さんの方が颯太役に合うんじゃないかなぁ、と思って」

 優しい大人で。

 でも、芯はしっかりとした強さがある。

 那由他さんなら、地でいけそうだ。

 思わずそう言うと、彼は困ったように肩をすくめた。

「私は、演技も運動も得意じゃないので。
 多少外見が刹那と似ていても、アイツの代わりなんて、とても、できません」

「そうかなぁ……
 でも、那由他さんの方と共演できたら良かったのに……」

 この人だったら。

 わたしがセリフを間違えても、嫌味や皮肉を言うことなく、色々教えてくれるんだろうな。

 なんて。

 思わず呟いて、わたしはあわあわと、自分の口を塞いだ。

「……す、すみません。
 わたしったら、また失礼なコトを……」

「いいんですよ。
 みんな、刹那が悪いんですから。
 でも、ね。
 泉川さん。
 なんで、刹那に『ダンディ・ライオン』なんてニックネームがついているか、知っていますか?」

 わたしの態度に、ちょっと苦笑すると。

 那由他さんは、まじめな顔をして言った。
 
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