ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
「えっと……それは。
 獅子谷って言う名字から、とか。
 キザで、ライオンみたいにわがまま……いやいや。
 おしゃれで、堂々としているからって言う話は聞いていますけど……」

「そう。
 世間一般の刹那のイメージは、うぬぼれ屋の、ライオンってところですから、ね」

 言って、那由他さんはちらっと笑った。

 うぬぼれ屋の、ライオン!

 確かに、刹那のイメージって、それだ。

 だけども、さすがに那由他さんの後に続いて笑うわけにもいかず、困っていると。

 那由他さんは、もう一度ほほ笑んだ。

「でも、ね。
 ダンディ・ライオンってきちんと日本語に訳すると『たんぽぽ』って言う意味になるんですよ。
 本当の刹那のイメージは、獅子ではなく、あの花にそっくりです」

「たんぽぽ!」

 春一番に咲く、あの黄色い花!

 それ、那由他さんは、ともかく。

 刹那には、絶対合わないから……!

「おやおや。
 信じられないって顔をしていますね?」

「だって、ねぇ」

 戸惑うわたしに、那由他さんは、片目をつむって見せた。

「でも、本当にたんぽぽなんです。
 アイツが生まれた時から付きあっている私が言うんですから」
< 12 / 53 >

この作品をシェア

pagetop