オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「――オレと、別れてほしい」


部活後のピアノ室で、香奈に告げると、


「え?」


香奈の微笑みは一瞬にして固まった。


「……どうして?」


消え入りそうな声と、オレを見上げる不安そうな表情。


やっぱり、無理だ。


香奈と別れるなんてできない。


「今日は、エイプリルフール、だよ」

「え?」


香奈は反射的にカレンダーに目をやり、


「もう……バカ」


オレに抱きついてきた。


「ごめん」


ほんとに、ごめん。


試すようなことをしたりして。


オレはそっと、香奈の肩を抱いた。

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