オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「別にそんなんじゃねえし」

「あら、そうなの? 気になってるみたいだから教えてあげようと思ったんだけど、じゃあ、いいわ」

「あ、いや、ちょっと待って」

「何か?」

「いや、その……気になっちゃうカンジ、なんだよ」

「教えてあげてもいいけど、今日の給食のプリン、くれる?」


プリン? ……なんで?


まあ、オレは甘いものが苦手だから。


「別にいいけど」

「まいどあり~。――香奈は、今日、お母さんの命日で家族でお墓参りに行ってるんだよ」

「……お母さん死んじゃったの?」

「うん、4年生の時、交通事故でね」

「……ふうん」

「ここからは、初回サービス。それからずっとご飯作ってるから、香奈は料理がすっごく上手いんだよ」


初回サービス? ……なに、それ。


「私に聞きたいことがあれば、いつでもどうぞ~」

加納は愛想よく言うと、離れて行った。

< 17 / 233 >

この作品をシェア

pagetop