オレの宝物。それは君の笑顔【完】
2年生になって、実は北原にカレシがいなかったと知ってから、オレはなんだかおかしくなった。


北原と話すたび、いや、北原が視界に入っただけで胸の鼓動が速くなるのだ。




そして、気づいた。


これは、恋、だと。




北原はおとなしくて無口で男子とはほとんど話さなかったが。


オレには「音楽」という共通の趣味があったから、ごく自然に話すことができた。


「音楽」の話題に、北原はいつも目を輝かせてくれた。


オレたちの楽しそうな様子に、周りからも「似合いのカップル」と噂されていたし、本当のカップルになれる自信もあった。


たが、テストでいつも負けていたことが、北原への告白をためらわせていた。


1番になったら――。


北原を抜かすことができたら、告白する。


そう心に決めていた。

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