オレの宝物。それは君の笑顔【完】
2学期の中間テストでも北原を抜けず、オレは塾に通い始めた。


その帰り、偶然目撃してしまったのは、2人で歩いている、北原と織田。


2人を見た瞬間、オレは動けなくなってしまった。


たまたま、帰りが一緒になっただけだ。


自分に言い聞かせたが。


次の日も、2人は一緒に帰っていた。


しかも、時折、笑顔を浮かべながら。




学校ではまったく接しない、2人。


注意して見ていると、北原は織田に、織田は北原に、誰にも気づかれないよう、さりげなく目を向けていた。


だから、北原が『Dreams』を弾き始めた時、織田のためだと直感した。


『Dreams』は高校サッカーのサポーターソングだったから。




気がつくと、オレは北原の横に立ち、一緒にピアノを弾いていた。


北原は音楽好きとして、オレとの連弾を純粋に楽しんでいた。


それが余計に気に入らないのだろう、織田は不機嫌そうで。


わざと織田に見せつけるように、オレはピアノを弾き続けた。

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