オレの宝物。それは君の笑顔【完】
12月に行われる市内のスピーチコンテストに、北原とオレが出場することになった。


説明を聞くため小会議室で北原と2人で先生が来るのを待っている時、


「北原って、織田のこと好きなの?」


ついに、聞いてしまった。


白い肌が一瞬にしてピンク色に染まり、


「……うん」


北原は恥ずかしそうに、しかし、はっきりとうなずいた。


柔らかな微笑を浮かべて。




北原は、オレの気持ちなんてまったく気づいていない。


ピアノを聞いた時と、テストで北原に負けた時――。


その時に感じたのと同じ、完全なる敗北感がオレを襲った。

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