オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「織田とつき合ってるんでしょ?」


この際だ、と捨て鉢な気分で聞いたが。


「……ううん」


予想に反して、北原から笑顔が消えた。


「……つき合ってないの?」

「……つき合おうとか好きとか、言われてないから」

「だけど、毎晩一緒に帰ってるんだろ?」

「でも、学校ではしゃべってくれないし、それに、……鈴木さんと仲いいし」


北原は不安に思っていた。


織田の本心を、疑い始めていた。


「だから、今度の日曜日、思いきって告白しようと思ってるの」


告白――?


オレは動揺した。


「……へえ、うまくいくと……いいね」

「……うん」


内心とは裏腹なオレの社交辞令に、北原は心細そうに微笑んだ。

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