泣いた赤色、うたかたの青
「そうだ、マスター」

あなたは椀に口を付けて、ほろ苦い抹茶を味わいながら、ふと思い出す。

「このお店の名前の『泣いたあかおに』って、何か意味があるのでしょうか?」


人魚のカフェ、というのは、

一緒に熱帯魚ショップをやっているからだろうと、何となくわかるけれど。


「まさか、マスターの頭が赤いから?」

あなたが冗談めかして笑うと、マスターは不思議な笑顔を浮かべた。

泣いているような

笑っているような……。


「お客さんは、『泣いた赤鬼』のお話を知っていますか?」


抹茶をすするあなたに、マスターはそんな質問をしてきた。
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