イジワルな俺様の秘密ライフ
ケータイ画面に視線を戻して、カチカチと赤外線の操作をしたり消したりする。
返せとか言われたり、しないよね……?
「……貸せ」
ヒョイとケータイを取り上げられた。
「はずさないで!!」
言った自分の声が意外に大きくて驚く。
それだけ必死だった。
海翔さまはビックリした顔をしたけど、ちょっとケータイを操作したのちに返してくれた。
「外さねぇよ。
あんま遅いから……ほら」
開いてた赤外線は消えて、待ち受け画面に変わっていた。
「連絡先、入れといた」
ぶっきらぼうな物言いをして、ふいと顔を背ける。
「あり……がと……」
ギュッと大切に握りしめたケータイに、カチャカチャと四葉が揺れる。
海翔さまの手にあるケータイにも同じ四葉が下げられている。
「“A”……?」
私の呟きに、ん? と海翔さまが振り返った。
「海翔さまのケータイは“A”なんだね」
ただ見えたままを言ったのに、海翔さまの頬の赤みが増す。
私、何か変なこと言ったかな……?