裏表プリンス
「気付くの遅ぇよバーカ、てか鈍いにも程があるだろ」
いよいよ普通に笑い始めた煉。
しかも終いには『携帯取られた時点で気付けよ』なんて言われる始末。
初めて意識的に煉を殴りたいと思ったけど、私はその思いを振り切る様に再び教科書へと視線を戻し、勉強を再開させた。
「なぁ伊桜」
「………何よ」
「そろそろ21時回るからキリの良い所で止めて帰ろうぜ」
煉の発言で携帯を見ると確かに21時の5分前で、来た時に比べて客も少ない。
私は煉の言う通りキリの良い所で勉強を止め、荷物を纏めて店を出た。
「じゃあ、今日は有難う。また明日」
そう言って私が煉に背を向け歩き始めると、グッと腕を掴まれた。
「煉……どうしたの?」