裏表プリンス
「家まで送る」
「え!?良いよ別に駅から家までそんな距離ないしっ」
「伊桜が良くても俺が良くねーんだよ」
そう言って煉は私の腕を掴んだ儘駅へと歩き出した。
ほんの一瞬、街灯に照らされた時の煉の耳が赤く見えたのは気の所為かな?
「ねぇ煉ー、マジで大丈夫だから!!」
「うっせ、オマエは黙って俺に送られてりゃ良いんだよ」
「…………はい」
ドキドキ、ドキドキ。
心音が五月蝿く鳴り響く。
好きな人に家まで送って貰うだけでこんなにドキドキするとか、中学生か私。
気付けば腕を掴んでいた煉の手は私の手を優しく包み込んでいた。
そして、電車に乗っている時も家までの道程もずっと、私達の手は離れなかった。