俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



絵梨にゃんは何かを感じ取ったのか、「先に帰るね」とカバンを持って、教室を後にしてしまった。


それでも、まだ教室にはたくさんの人がいる。




「池谷くん、今から帰るの?」



「そのつもり。柚は?」



「あたしも帰ろうかと思ってた。一緒に校門まで帰ろっか」



「家まで送るのに」



「ごめん。今から用事があって別のところに行かないといけなくて。だから、校門まででいいよ」




本当は、用事なんてない。


ただ、本当の気持ちを伝えようとしているのに、家まで送ってもらうのは失礼だと思ったから。


池谷くんはあたしの覚悟を知っているのかは分からないけど、いつもの優しい笑顔で頷いてくれた。



ごめんね、池谷くん。

許してほしいなんて言わないから、受け止めてほしい。




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