俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「俺と柚が最初に話した時、覚えてる?」



「桐生っちに職員室に呼び出されて、池谷くんに勉強頼まれた時のこと?」



「うん、そう。あの時、俺ズルいこと言って柚を怖がらせたんだよね。……覚えてる?」




そう言われて、思い出してみるのは、あの時の会話。


先生に勉強を教えてもらうんだと意気込んでいたあたしは、池谷くんと職員室を出て、廊下で言われた一言があった。


――「桜井には色々計画があるかもしれないけど、俺にも計画があるわけ。狂ってもらったら非常に困るんだよね」――



確かこの言葉を耳にしたときは、疑問に思ったけど。




「俺さ、あの時は自分の評価をあげようと必死だったんだ。行きたい大学があって、どうしても桐生先生の俺に対しての評価を上げたかった。

だから、柚の勉強を見ることにした。……まさか、こんなにも好きになるとは思ってなかったけど」




池谷くんは、もうあたしなんて見ていない。


弱々しく姿を現している太陽を目に焼き付けていた。




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