『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第3節『落とし穴』

―ユリウス歴1425年―


―フランス・ドンレミ村―


俺は、14世紀のジャンヌの家に泊まり、次の日の朝を迎えた。



『ふ〜ぁぁぁ…』


『あ〜良く寝た…今何時だ?』


『お母さ〜ん家の外に変な男の人が居るよ。』


(ん?)



寝起きの俺の耳にジャックマンの声が聞こえた。


俺は直ぐさまベッドから起き、その声の場所へと向かった。



『あのね、お母さん。外に左目に傷が有る黒髪の男の人がさぁ―』


(左目に傷?…)


(黒髪…?)


(もしや)



俺はそのジャックマンの言った見た目から、もしやと思い、玄関から外に飛び出した。


玄関から出て来た俺を待っていたかの様に、両腕を組み、立ち尽くすローの姿が俺の目に入った。



『あれ?やっぱり』


『よっ』


『よって…お前こんなところで何やってんだよ』

『話しはあとでゆっくり話すから、まずは俺について来てくんない?』


『はぁ?』



俺とローが会話している姿を見たイザベルは、俺にこう言った。



『あら?そちらの方はジャンヌさんの知り合い?』


『あ、いえ…別に知り合いって程では―』



俺がそう濁した言い方をしている矢先、ローがイザベルにこう言った。



『あ〜そうそう俺はジャンヌちゃんの保護者見たいな者っすよ』


『はぁ?誰が保護者だって』



そんな俺が怒るのも無視して、ローはイザベルに話しを続けた。



『ってな訳で、出来れば、身内だけで話したい事があるので、ちょっとこの娘を借りて行きますね』



そう言うと、ローは俺の腕を引っ張りながら、イザベルの前から連れ出した。



『あちょっと―』


『―もう、まぁ善いわ身内の方なら安心だわ』


『あそうだわそれよりお昼ご飯の支度をしなくちゃ』
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