『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)
そして俺は、ジャンヌから聞いたローの噂をローに言った。



『た、例えばローがこの時代のフランス前国王“シャルル6世の隠し子”とか…』


『お前が悪魔と契約を交わしたとか…』


『お前が……』



俺はその続きを、噂の本人であるローには言えず俺の言葉は止まった。


するとロー自身がこう言った。



『俺が“味方殺し”とかか?…』


『う、うん…』



俺は静かに頷き、次にその噂へのフォローへと回った。



『で、でも噂だろ?』


『そんな出鱈目な噂は俺は信じねぇから気にする事ねぇって』



するとローは静かに呟いた。



『ふっ…今言った噂に関しては、全部事実だ…』


『前国王の隠し子って事も…』


『悪魔っと言うより“人ならざる者”との契約も…』

『味方殺しも…』


『むしろ俺は…味方どころか、大切な親友の命すら、この手で奪っちまったしな…』


『親友の命を奪う』


『どう言う事だよそりゃ』


『それに前国王の隠し子って?』


『なぁ、俺もお前の事がもっと知りたい』


『話してくれないか?ローの事、お前自身の事を…』

『話すと長くなるぜ?』


『善いよ別に。何せ俺には十分過ぎる位の時間が有るからな。』



そしてローは事の全てを話し始めた。



『何から話せば善いのやら…やっぱり始まりはあそこからだな。』


『あそこ?…』


『ああ、全ての始まりは俺が8歳のガキの頃からだな。』


『ローがガキだった時?』


『全ては今から約25年も前の事だ。』


『この時代はまさに戦の真っ最中でな、フランス中何処に居てもそれは変わらなかった。』


『いや、むしろ人が争いを好んでいた時代と言っても良いかも知れない位だ。』

『戦が無い時ですら軍は平和な村を襲っては略奪や殺人などを繰り返していた。』
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