『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第5節『“事実”と“真実”』

―ユリウス歴1400年―


―フランス・国王シャルルの宮廷内―



“ドスッ”…


“カキーン”


“カラカラ”…



シャルル目掛けて振り下ろした筈の剣は、紙一重でシャルルを避け、俺は剣から手を離し剣は床に転がった。



『駄目だ…』


『出来ない…』


『俺には出来ないよ…』



俺は声を震わせ、自分の震えた両手を見つめながらシャルルの前に膝ま付き、声を上げた。



『なんでだよ』


『何で俺は…』


『俺はお前が憎いのに』

『ずっとお前を憎んで居たのに』


『俺は…俺達はお前達を潰す為に…』


『俺とアイツでこの国のトップに立ち、この腐った国を変えるって約束した筈なのに…』


『なのに何でここに来て俺はお前を殺せ無いんだよ』


『こんな腐った国の王が何でお前は綺麗なんだよ』


『何でお前見たいな綺麗な王の居る国がこんなに汚い国になっちまうんだよ』

『………』


『………』


『なぁ?…俺に教えてくれよ?シャルル…』


『………』



俺がそうシャルルに尋ねてもシャルルの返事は無かった。


それを見た俺は間髪容れず同じ問いをロベールにもした。



『なぁ?お前なら分かるのかよロベール』


『分かるんなら俺に教えてくれよロベール』
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