記憶 ―夢幻の森―

そんな事を言われたのは初めてで、俺の乾いた心にハルカの想いが染みわたる。


俺は…
『寂しかった』――

ずっと…。

有り難う、ハルカ…



俺は今どんな顔をしているだろう?

暗くて、良かったな…。




無邪気なだけの関係が、


少しずつ、
少しずつ……

形を、変えてゆく。


お互いを確認し合って、
心を、許し合って…


胸の奥の奥…、

せつなく、温かく、

危なっかしく育っていく淡いこの感情は…

いつか…
遥か昔にも持った事がある。



…「恋」と、

そう呼んでもいいものかな…


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