記憶 ―夢幻の森―
「何かの間違いだろう?残念だが、俺にそんな力はない…。その男の子とは、何者なんだ?」
俺は首を横に振り、二人に問いかける。
「さぁ。その男の子とは、その一度しか会っていない。しかし…」
セイジさんは、ユリネさんに視線を送る。
「あたしね、占い師をしているのよ。その男の子から見えた、読み取れた物は、…砂漠、白い狼、大事な仲間。」
……え。
「…そして、今の貴方からも同じイメージが見える。確信したわ、貴方の事を指していたんだって…」
ユリネさんは真っ直ぐ俺を見つめ、そう言い切った。
誰だ…
誰なんだ?
アズか?アランか?
その男の子は、
誰だ…っ?
俺は、興奮していた。
昔の俺を知っている者か?
同じ前世を持つ者か?
どこか冷静な俺が、その思考を止めた。
ハルカが生まれる前の話…、
分かっている。
もう、それを知れる術はない。
今まで黙って聞いていたハルカが、痺れを切らした。
足をばたつかせる。
「異世界から来たからって、キースはキースでしょ!?お友達でしょっ!」