フォトグラフ




まぁ難しい事はわからないが、撮ってもらえて、使ってもらえるだけで嬉しい。



ウキウキしながら、スタッフの人の手伝いをする。



余りに俺がウキウキしているので、スタッフの人がクスっと笑っていた事に俺は気付かなかった。



「こんにちは~。
今日からお世話になります、早英(さえ)です。
よろしくお願いします。」



綺麗な声がスタジオに響く。俺はそのアルトな声に一瞬ドキっとした。



さっきよりスタッフの人が少し増えていた事もあり、拍手は俺の時よりちょっと大きい。



拍手がなっている間、チラッと横目でその子を確認しようとした。



すると向こうもスタッフのメンバーを見るためにぐるっと見渡したらしく、


ちょうど横目で見た俺とタイミングがあってしまい、バチッと目が合った。



スタッフにしては若い上に、ブレザーを着ている俺を不思議に思ったのだろう。


彼女はしばらく俺を見つめた後、ぺこっと軽くお辞儀をして、ふいっと違う方へ向いた。



< 6 / 64 >

この作品をシェア

pagetop