風のおとしもの。







「……雛、おはよ」

「………」


小さく会釈する。
言葉は発さず、目も合わせないで着席した。


「…あー……あのさ、昨日はごめん。美紀には私から言っといたから」

「………」

「……でさ!今日はどうかなって」

「………すみません、遠慮しておきます」

「そっ、か。じゃあ明日とか―――」
「すみません」


今日は古文。
教科書、参考書、筆記用具の準備良し。
私は立ち上がり、一礼だけして教室を出た。





トイレって意外と便利だ。
個室で座れるし、ちょっとした時間を潰すのにいいかも。

………これでいいんだよね。
お母さんの時だって、私がいなければあんなことにはならなかった。
腕時計を確認し、時間を見計らって教室に戻った。

休み時間は本を開いたり、教室を出たり、極力関わらないようにする。
そうすればあっちも面倒臭がって、この関係は自然消滅するハズだ。
お昼は素早く移動する。
どこか人目につかない空き教室にいこう。

長いようであっという間に終わる一日。






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