風のおとしもの。
「…雛」
「はい」
ちらっとだけ視線向け、帰り支度を続ける。
「ごめん、簡単に許してもらえるなんて思ってないんだ。ただ話だけでも聞いてくれないかな」
「私、佳代さんに許しを請われる覚えはありません」
なんで急に優しい佳代さんに戻ったんだろ。
やっぱり村井君でしょうか。
ドクン。
あぁ、まただ。この痛み。
何とも表現し難い、毒々しい感情。
「雛乃、今日はどうしたんだよ?いつもと違うぞ」
「佳代さんに言われたくありません」
あぁ……ごめんなさい。
そんな表情をさせたかったんじゃないんです。
こんなこと言いたいんじゃないんです。
「………もう行きます」
「あ、」
呼び止めようとする佳代さんを振り切り、教室を後にした。
これでいいんだ。きっと。