風のおとしもの。



「…お弁当、いつもお母さんが作られるんですか?」

「いや、違うけど…」

「じゃあお父さんが?」

「………笑うなよ」

「?」

「……………俺」


ぼそっと呟くと、小鳥遊の目が見開かれる。
まぁ弁当作るなんてガラじゃないし、当然の反応だけど何かムカつく。


「…悪ぃかよ」

「いっ、いえ!すごいです!」

「は?」

「私、お料理全然出来なくて……いつもおばさんに任せきりなんです」

「……つっても冷凍とか入れてるから、そっちみたいにすごくはねぇけど」

「おばさんはとても料理上手です」


自分のこと褒められたみたいに照れる。
すごいのはそのおばさんなんだけどよ。


「お母さんも働いてらっしゃるんですか?」

「………いや、いない」

「ぇ……」

「お前の母さんが逝った後くらいに、な」

「あ…ごめんなさい、同じ病棟だったんですね」

「構わねぇけど……お前違う病棟にも知り合いいたのか?」

「はい」


こりゃ思い出すのは無理かな。
ま、それが目的ではないし、いいんだが…。




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