風のおとしもの。
「へぇ、夏祭りねぇ」
「鷹文、雛乃の返事聞いたらすぐ終わるから、ちょっと待ってて欲しいんだ」
「これ、昼間言ってたやつか?」
佳代さんには答えず、村井君はチラシを覗く。
「……はい」
「ならダメだな、こいつ俺と行くって先約があるから」
えっ?
澄まし顔で言う村井君に驚く。
「なら村井とは別の日に行けばいいだけだ、ダメなこともないだろ」
「ここ3日間とも俺と約束があんの。だから無理」
なっと同意を求める村井君に、反射的に頷いてしまった。
「俺らちょー仲良しだから、ごめんな?」
挑発的な村井君の笑顔に、二人とも言葉に詰まったみたいだ。
でも佳代さんは負けじと続ける。
「鷹文、私は雛乃と話がしたいだけなんだ」
「だから?」
「っ…そんな風にすぐ後ろに隠すのはやめてくれないかな」
「お前自分がこいつにしてたこと思い返してみろよ」
「何……」
「俺に隠すみたいに守ってたろ?」
「それは…」
「藤沢もそうだ」
きっと里香さんを見る村井君は、抑揚のない声で続ける。
「高見から隠すようにしてたろ。俺が今こうしてんのはお前たちがしてたのと同じだよ」
「………」
「もっと上手いやり方があったんじゃねぇのか?」
俯いてしまった里香さんから視線を外すと、今度は誰に言うでもなく淡々と言う。
「そーいうのが小鳥遊を追い詰めてたって、なんで気付いてやれなかったんだよ」
苦しそうに。辛そうにする村井君。
私のことなのに、どうして村井君がそんな顔するの?
胸がズキズキする。