風のおとしもの。



「へぇ、夏祭りねぇ」

「鷹文、雛乃の返事聞いたらすぐ終わるから、ちょっと待ってて欲しいんだ」

「これ、昼間言ってたやつか?」


佳代さんには答えず、村井君はチラシを覗く。


「……はい」

「ならダメだな、こいつ俺と行くって先約があるから」


えっ?
澄まし顔で言う村井君に驚く。


「なら村井とは別の日に行けばいいだけだ、ダメなこともないだろ」

「ここ3日間とも俺と約束があんの。だから無理」


なっと同意を求める村井君に、反射的に頷いてしまった。


「俺らちょー仲良しだから、ごめんな?」


挑発的な村井君の笑顔に、二人とも言葉に詰まったみたいだ。
でも佳代さんは負けじと続ける。


「鷹文、私は雛乃と話がしたいだけなんだ」

「だから?」

「っ…そんな風にすぐ後ろに隠すのはやめてくれないかな」

「お前自分がこいつにしてたこと思い返してみろよ」

「何……」

「俺に隠すみたいに守ってたろ?」

「それは…」

「藤沢もそうだ」


きっと里香さんを見る村井君は、抑揚のない声で続ける。


「高見から隠すようにしてたろ。俺が今こうしてんのはお前たちがしてたのと同じだよ」


「………」

「もっと上手いやり方があったんじゃねぇのか?」


俯いてしまった里香さんから視線を外すと、今度は誰に言うでもなく淡々と言う。


「そーいうのが小鳥遊を追い詰めてたって、なんで気付いてやれなかったんだよ」


苦しそうに。辛そうにする村井君。
私のことなのに、どうして村井君がそんな顔するの?
胸がズキズキする。

< 319 / 382 >

この作品をシェア

pagetop