風のおとしもの。



「………ねぇ~、みんなどーしたの?」


おずおずと上目遣いに言う声にはっとする。


「怖い顔してるよぉ」

「……小鳥遊、参考書とか重かったら俺も持ってやるから。行くぞ」

「っはい」


美紀さんのちょっと間の抜けた声のおかげで硬直していた体が解れた。


「……美紀入ってきちゃダメだった?」

「いや、そんなことないよ」

「ん」

「うーっ、煮え切らないお返事ですことぉー」


村井君もすっかり毒気を抜かれたみたいで、なんだあいつと呟くのが聞こえた。


「あ、雛ちゃん帰るの?」

「はい」

「夏休み暇してる日ある?」

「ぇ…と、まだ未定です」

「ならメールするねぇ☆」


なんで?とは聞かなかったけど驚いた。
…一応繕っておく、みたいな?
うん、多分そうだ。


「…わかりました」

「んっ、ばいば~い☆」

「はい」


正直、嫌気がさすほど眩しい笑顔だと思ってた時期もあった。
今は純粋に屈託のない笑顔に見えて、それにあんまりにこにこ笑うからつられてしまった。




< 320 / 382 >

この作品をシェア

pagetop