風のおとしもの。


「雛ちゃんにそんなことする度胸ないよね」

「なっ」

「てゆーかぁ、勘違いなんじゃない?自惚れすぎ」

「どういう意味ですか」

「雛ちゃんが思ってる程ぉ、人って他人を気にしてないってこと☆」


文具の棚に向き直り、美紀さんはたくさんのペンの群れから一本だけ抜き取った。


「これ可愛いから買お♪」

「えっ…と……?」

「美紀とも仲直りの印」


渡されたのは不細工な猫が散りばめられたシャーペンだった。
可愛い……?


「たれネコちょー可愛いよね、ぶっさぁ~」


不細工なのに可愛い?
美紀さんといると謎の発見だらけです。
それにしても……。


「なんだか、悩んでたのが馬鹿みたいです」


口にすると、口角が上がる感じがした。

お母さん。
私、勘違いしてたのかな。あの時は乱暴なこと言ってごめんね。


「でしょー?みんなバカだよ」

「美紀さんにはあまり言われたくないですね」

「それどーゆー意味よ」

「いえ、何でも?」

「なんかムカつく…」


ふふふ。笑っている間に、美紀さんはさっさとレジに向かってしまった。
怒らせちゃったかな?
心配したものの、手にはしっかりとあのシャーペンが握られていたので、笑いが止まらなかった。


よくよく見ると確かに可愛いかもしれない。
目の前にかざすと、ペンに付いた猫のキーホルダーが光った。




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