風のおとしもの。



店員さんが持っていたのは、薄ピンクのワンピースだった。


「肩口にちょっとフリルがあるんですけど、目立たないし可愛いですよ」

「わぁ…」


丈が短めだけど、可愛い。
胸元にリボンがあしらわれていて、ふわふわしたワンピースだ。


「下にキャミソールとか着れば更に可愛く着こなせますよ」


店員さんは、今度は濃いピンク色のキャミソールを選んだ。
ワンピースに被せれば、胸元のレースが少しだけ見える。
それだけで大分雰囲気が変わった。


「すごいです…」

「試着してみますか?」

「…はい」


くすりと笑う店員さんの後に続き、試着室に入った。


「あれ……雛ちゃん試着してんの?」


入れ違いだったのか、隣りのカーテンが開く音がして美紀さんの声がする。


「はい、店員さんに勧めてもらって…」

「へぇ~……楽しみぃ♪」

「みっ、見せませんからねっ」

「なんでぇ」


にやにやした美紀さんの顔が思い浮かぶ。
私を馬鹿にする気だ。
いそいそと試着し、鏡を見つめる。

……やっぱり可愛い。
この服が私に似合ってるのかはわからないけど、すごく可愛い。


「雛ちゃーん、開けるよー☆」

「え……」


しゃっ。
無情にもカーテンが開け放たれる。

フリーズしたままでいるとさっきの店員さんが顔を覗かせた。






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