風のおとしもの。




「あら。とても良くお似合いですよ」

「は、はぁ…」


両手を合わせる店員さんに照れ臭くなって俯く。


「雛ちゃんそれ買いなよ」

「へ……」

「絶対いいってそれ!いくらすんの?」

「ぅえ、えっと…」


嬉々として跳びはねる美紀さん。
美紀さんのことじゃないのに、なんで嬉しそうなんだろ。





…結局勢いに負けて買ってしまいました……。


「ちょっと高かったけど、いい買い物だったねぇ☆」

「私、こんな愛らしい服を着ていく場所ないです…」


がっくりと肩を落とした。
そうです、よく考えれば着て行く場所がない。


「えーっ、今度美紀と遊ぶ時にでも着て来なよ」

「これで街中を歩くんですか!?」

「じゃなかったら何時着んのよー」


ケタケタ笑う美紀さんに絶句した。
そっ、そんな勇気、ないです……。


「あーでも靴がないよねー。よし、サンダルとか見にいこっ」

「や、もうお金が…」

「買うのは今度でいーの!」


しゅっぱーつっ!
両手を上げた美紀さんは駅前のショッピングセンターに向かっていく。


「あぁ…」


ついていくしか選択肢はないんですけどね。
振り回されるのが好きなわけではないけど、この無遠慮な感じ。


「雛ちゃん何してんのー!早くー!」

「今行きます」


嫌いじゃないなぁ。






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