風のおとしもの。
「雛ちゃんちょーウケるんだけど!」
意外にも笑い声が聞こえてきた。
美紀さん……?
「いっつも絵文字とかつけないくせに、テンション上がりすぎ!」
きゃははっという甲高い笑い声に、自分が送ったメール内容を思い返す。
そんなにおかしかったでしょうか?
「はぁー………で、どこ行くのよ?」
ひとしきり笑い終えた美紀さんは、冷やかすように聞いてきた。
「美術館です」
「…は?」
「だから、美術館です」
「はぁあぁ!?何それぇ!?」
「み、きさん、耳痛い……」
「よりによって初デートが美術館!?ありえない!」
「でっ!デートじゃありません!」
「じゃなくても美術館はないでしょ!!」
「うっ……でも村井君はいいって…」
「そんなの嘘に決まってんじゃん!」
「うそ…」
「雛ちゃんに合わせてくれたんだよっ」
確かに、村井君なら考えられます。
……そっか、そうだよね。
嫌ならなしにする、なんて言っても、村井君は優しい人だからそんなことしない。
「もーっ、美紀に相談してくれればいいデートコース教えたげたのに」「
だからデートでは…」
「シャラップ!」
美紀さんの声がキーンと耳を突き刺す。
思わず携帯を放り出しそうになった。
「あーんな嬉しそうなメール送っといて、今更しらばっくれるなんて無しでしょ」
「けど、村井君はお友達だって…」
「何、フラれてんの?」
「まずそういった話題になったことがありません」
「まぁでも、まだ友達なんだ」
「はい」
「ふうぅーん」
甘ったるい間延びした声。
にまにま笑う美紀さんの表情が目の前に見えるようです。
「美術館なんかに付き合ってあげる辺り、脈無しではなさそうだよねぇ…」
「なんですかっ」
ボソボソと独り言を言い始める美紀さんに問い返す。