風のおとしもの。



「帯きつくない?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ次は髪を結いましょ」

「えっ」


こっちの方が座りやすいでしょと勉強机の椅子を置いてもらう。
どっ、どうしよう。
おばさんにはこれ以上お手数をかけさせたくないです……。


「でも……」

「浴衣着てると大変でしょ?」

「それはそうですが…」

「はい、座って」


ぽんっと椅子を叩くおばさんは、やっぱりニコニコしてる。
どうするのがいいのかわからなくて、さっきのように言われるまま椅子に座った。


「どんなのがいい?」

「えっと、うーん……」

「決まってない?なら時間もないし、おばさんお任せコースね」


悩んでいたので嬉しいです!


「あ、ちょっと待ってて」

「?」


おばさんは隣の部屋へ向かい、キラキラした髪飾りを持ってきた。


「これこれ」

「それは?」

「成人式の時、あの子が付けてた髪飾り」


薄紅色の華をもした髪飾りで、真ん中がキラキラしてる。
黒を基調に薄紅の布が花弁を造っていて、すごく可愛い。


「全部レンタルにしたんだけど、これだけは買ったのよ」

「おばさんがですか?」

「うん。あの子これだけは気に入ったみたいで」


にっこり笑うとおばさんはさっと櫛を持ち直して髪を梳く。

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