風のおとしもの。




「村井サイテー」

「そんなことありません。今私が買ったりんご飴を持って待ってくれてます」

「マジ?ウケるんだけど!てか美紀もりんご飴食べた~い☆」


美紀さんは相変わらずというか何と言うか……。
良くも悪くも調子を狂わせてくれる人です。


「案内しましょうか?」

「わ~い☆ついでに奢って♪」

「お断りします」

「ぶーっ、ケチっ」

「なら私に飲み物を買ってきてくれますか?」

「やだよ、めんどくさーい」

「そういうことです」

「ちょ、ひどくない?」

「ひどくないです……ほら、りんご飴ですよね」

「あ、うん!」


返事すると、美紀さんはぴょこんと飛びついてきた。
その仕種が可愛くて、あと近くに来てもらえるのが嬉しくて、一瞬奢ることを考えてしまった。

夏休みに入ってしばらく、やっと人一人入れる距離間ではなくなったのが嬉しかった。
浴衣もピンクで、やっぱり美紀さんは愛らしい。


「佳代も里香も早く~」


美紀さんが呼ぶと、そこには絶句している二人がいた。
びっくりして辺りを見回したけど、そんなに驚くようなものは見当たらない。


「……………え?」
「……お前たち…」

「あの……どうかされましたか?」


心配になって思わず声をかけてしまった。


「んっふっふ~♪」

「美紀さん?」

「ほ~ら、みんな行くよー☆」

「わっ、ちょ、ちょっと」


含み笑いする美紀さんに押されて慌てる。
…食べ物は無事みたい。


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