片耳ピアス


でももちろん
それはおかしいと気付く。


「うっわー!未埜がまた可奈にちゅーしてるー」
「そーゆーのドーセーアイっていうんだぜ?きもー」


昔からお互いの慣わしのようにしていたキスを咎められたのは、小六のころだった。

このころから一人称が俺に変わった。

性格もあまり良くなかった。


「何かおかしーかよ?」

イラっときて言い返すと、
したり顔の男子が言った。


「だってさー、普通好きって男と女のことだろー?だから未埜と可奈はおかしーんだよ!」


なんだろ。
頭をガンって殴られたみたいな、
そんな衝撃を感じた。


俺、おかしい?
可奈を好きって思うことが?


「ちょっとー今のはヒドイよ?これうちらの挨拶みたいなもんだもん。ねー?」

可奈が俺に言う。
でも、違う。
俺はちゃんと
好きだよって思いながらしてる。



でも、可奈は…




「…っ!」

脇も前も見ないで走り出した。
後ろで男子どもが騒いでたけど、聞こえないふりをした。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop