片耳ピアス
でももちろん
それはおかしいと気付く。
「うっわー!未埜がまた可奈にちゅーしてるー」
「そーゆーのドーセーアイっていうんだぜ?きもー」
昔からお互いの慣わしのようにしていたキスを咎められたのは、小六のころだった。
このころから一人称が俺に変わった。
性格もあまり良くなかった。
「何かおかしーかよ?」
イラっときて言い返すと、
したり顔の男子が言った。
「だってさー、普通好きって男と女のことだろー?だから未埜と可奈はおかしーんだよ!」
なんだろ。
頭をガンって殴られたみたいな、
そんな衝撃を感じた。
俺、おかしい?
可奈を好きって思うことが?
「ちょっとー今のはヒドイよ?これうちらの挨拶みたいなもんだもん。ねー?」
可奈が俺に言う。
でも、違う。
俺はちゃんと
好きだよって思いながらしてる。
でも、可奈は…
「…っ!」
脇も前も見ないで走り出した。
後ろで男子どもが騒いでたけど、聞こえないふりをした。