片耳ピアス


ちょうど誰もいなかった女子トイレに駆け込む。
一番奥の個室。
扉を閉めて、座り込む。

なんだ…?
イライラする…

思いが通じてなかった、
それがショックだった。



「ちょ、未埜?どうしたの」

可奈だ。
俺を追い掛けてきた可奈。
頬が紅くなって、
息を切らせてる。

そんな姿すら、愛しい。


こんなに、好きなのに。
大好きなのに。


「未埜?どうしたの、恐い顔して」

俺は可奈を引っ張って
個室に連れ込んだ。
そのまま鍵を締める。

「ちょ、み」

一瞬、息を飲む音を聞いた。
そんな音も、言いかけた言葉も、

俺が塞いだ。

「…っんぅ」

いつもと違うと感じたらしい可奈は、
俺の肩を押してきた。
けど放さない。

強く、唇を押し付けた。
舌も入れた。
探して見つけた可奈の舌を
強く吸った。


「…っは…みのぉ…っ」


息が苦しくなって
唇を離すと
銀色の糸が伸びた。

可奈の目が動揺に揺れる。

だめだ、やっぱり直接伝えなきゃ。

「…可奈、俺「未埜っ!ほら、教室もどろっ?」

言いかけた言葉を遮って
可奈は俺の顔も見ずに
個室を出た。
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