私に恋を教えてくれてありがとう【下】
“もう華子の中で答えは出ているのだ”



婦長には言いたくない。


そんな弱い人間にはなりたくないのだ。



この数ヶ月間で華子は婦長に

もう刺さるところがない位の

沢山のとげを刺されていた。



どこかの植物より酷く惨いとげだ。



若いというだけでその対象なのに

患者から声を掛けられているところを

数多く目撃されていたのだ。




かといって華子はそれに乗っていたわけではない。


むしろ煙たくしていたのにも関わらず


半世紀生きた人間の嫉妬は恐ろしいものだ。
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