愛のない世界
彩香は、自分自身に言い訳した。


自分を正当化する為に…。


― 愛なんていらない。


― 愛なんて信用しない。


― 『愛してる』と、気安く言う男達も信用出来るもんか。


― だから私には、愛なんて必要ないんだ。



愛なんて…

愛なんて…

愛なんて…


愛なんて、いらない…

愛なんて、くだらない…


愛なんか…

私には必要ない…


そう呟いて、彩香はまた泣いた。


一人、声を出して泣いていた。






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