年上女ですが…それが何か???






コータ君が入れ直してくれた手の中のコーヒーからユラユラと湯気が立つ。





目を細めて見るとその向こうには、頬杖を付いた片肘を組んだ膝の上に乗せて俯くコータ君の姿がある。






テーブルを挟んで最初の配置へと戻った私達だけど、さっきまで直に温もりを感じてたからか、それが寂しく感じてしまってコーヒーを啜りながら胸がチクンと痛んだ。






また触れたいな、あの胸に……






自分がどんどん貪欲になっていってるのが手に取るようにわかる。






私から隣に行ったら、どう思う……?






伏せられた長い睫毛をチラチラのぞき見ながら様子を伺っていると、






「隣に、来る?」






私の視線に気付いたコータ君が顔を上げるなりそう言ってくれた。






「うんっ」





やったぁ!!!






それにお前はガキかってくらい勢いのいい返事をして場所移動をする私。






年上のプライドなんて、全くないに等しい顔をしているらしかった。






「ぷはっ… その嬉しそうな顔、なんか犬みたい……」



「ええっ!?嘘っ!!」






コータ君に指摘されて慌てて両手で顔を覆ったけど、






「さっきは俺に可愛いって言ってたけど、明さんの方が絶対可愛いよ」






いとも簡単にその手は引きはがされて、真っ赤になった顔を見られてしまった。






「…っ…!?からかってないで早く教えなさいよ、正体」





目の前の顔を睨みながらなるべく語気を強めて言ってみたけど、そんな顔じゃ全然威力なんてなかったみたい。
怯むどころか逆に吹き出された。






「ぶっ、か〜わい」







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