年上女ですが…それが何か???
「………、えっ……」
「いや、だから……、朱里ってのが、俺の母親なんだ……」
言われてることが上手く飲み込めなくて、ピタリと動きを止めた私に、再度掛けられたコータ君の言葉はさっきよりも力強いものだった。
「……って、えっ!? だって、朱里さんって独身でしょ?結婚したなんて聞いて……」
「シングルマザー」
「あっ…」
“俺の母親、結婚せずに俺を産んだんだ”
さっき言われたばかりの言葉が頭の中でリピートされる。
「ついでに言うと、俺を産んだっていうのは極秘中の極秘事項」
「……嘘っ…!?」
私は朱里さんの現役時代を実際には知らない。
私がモデルになった時には、現役を引退して、すでにデザイナーとして脚光を浴びていたから。
でもその逸話はよく事務所の人から聞いていた。
“日本人で初めてヴォーグンの表紙を飾った人”
“ショーのギャランティは数千万”
“現役中、2年間消息不明になっても尚、人気が衰えなかった”
“突然のデザイナー転向後に立ち上げたブランドの業績も直ぐに世界トップクラスになった”
等など……。
とにかく、凄い人なんだってば!!
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